研究概要 |
本研究は,石灰質地盤としらす地盤を主体とした粒子破砕の卓越した地盤における杭基礎の支持力特性を明確にすると共に,地盤の破砕性を考慮した実務上有益で,かつ一般性を有した支持力評価法の提案を目指したものである。本年度,具体的に行った研究内容と得られた結果をまとめると以下のようである。 1)プラントル、カ-コット、スコルブスキー、水野、メイヤホッフ、テルツアッギ、ハンセン、山口といった先人達が示している古典的な支持力評価手注を整理し、それらの手法の特色を取りまとめるとともに、それらの手法が抱える問題点と適用限界を明確にした。 2)球状押し広げの理論を考察することにより,土の強さ,地盤としての剛性と圧縮性および初期応力状態の評価が,地盤の破砕性を取り入れた支持力算定式を提示する上で,極めて重要であることを指摘した。 3)大変形時の土の強さを明確にするために,リングねじりせん断試験装置を製作し,その性能試験を行い,今後の実験に利用できることを確認した。 4)先端支持力と周面摩擦力を独立に測定でき、土中の水平応力と鉛直応力(上載圧)を制御或いは計測可能な小型の模型杭載荷装置を用いて、破砕性の異なる数種類の砂を対象として,初期応力状態を種々変えた模型杭の載荷実験を実施した。これにより破砕性の違いが,先端支持力の発現特性に顕著に表われることを示した。また,その発現メカニズムを視覚的に示すと共に,破壊モードの定式化を行った。 来年度は,本年度の成果を踏まえて,鉛直支持力評価手法の確立と実際問題に適用するためのシステムの構築を行う予定である。
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