本邦諸地域火山灰質土の基本的性質と工学的分類に関する総合的研究

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09450183
• 研究機関: 北海道大学
• 研究代表者: 楊 俊傑 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30253719)
• 研究分担者: 安田 進 東京電機大学, 理工学部, 教授 (90192385) ; 諸戸 靖史 八戸工業大学, 工学部, 教授 (00105545) ; 三浦 清一 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00091504) ; 北村 良介 鹿児島大学, 工学部, 教授 (70111979) ; 清水 正喜 鳥取大学, 工学部, 助教授 (00115859)
• キーワード: 火山灰質土 / 火山成粗粒土 / 火山灰質粘性土 / 火山灰質有機質土 / 土の構造 / せん断強さ / 締固め / 土質安定処理

研究概要

1.火山成粗粒土
(1)支笏火山灰土について、せん断剛性率Gとコーン貫入抵抗値qcや標準貫入試験N値との関係は、基本的に、従来砂地盤で認められているような相関関係にあるが、せん断剛性率Gに及ぼす原位置試験法の違いの影響は極めて大きい。
(2)火山灰の場合は、水分が多いにも関わらず、低有効応力時のせん断強さが大きいので、凍結による構造変化が少なく、液状化強度の変化が少なかった。
(3)しらすの浸食については、粒径の大きな土粒子、土粒子密度の大きな土粒子は、浸食に対する抵抗力を発揮する。
2.火山灰質粘性土
(1)関東ロームの斜面を対象にし、不撹乱試料について人工的に風化実験を行った。その結果、寒暖・乾湿繰返しとともに、内部摩擦角と粘着力とも低下していく。
(2)盛土を対象にし、締固めた関東ロームについて、飽和度や間隙圧係数による簡便な強度変形特性並びに沈下特性の評価を試みた。
(3)火山灰質粘性土の変形特性も強度特性もセメンテーション及びその発達状況に影響される。
(4)大山ロームと軽石の安定処理は添加剤の種類、量ともに異なる。大山軽石風化土試料を締め固めると、同じ含水比で比較しても不撹乱試料より初期有効応力が小さくなり、その結果として非排水せん断強さも低下する。
3.火山灰質有機質土
(1)熊本県黒ぼく・赤ぼくの化学的改良効果は(添加率/含水比)を用いた評価を試みた。
(2)青森黒ぼくは大山黒ぼくよりさらに粗粒であるが、二次圧縮速度は大山黒ぼくとほぼ同じであった。

研究成果

• [文献書誌] Miura, S.: "Deformation-strength properties of crushable soils estimated by laboratory and in-situ testings"Proc., Second International Symposium on Pre-failure Deformation Characteristics of Geomaterials. Vol.1. 387-394 (1999)
• [文献書誌] 三浦 清一: "室内及び原位置試験から推定した二次堆積火山灰地盤の変形-強度特性"破砕性地盤の工学的諸問題に関するシンポジウム発表論文集. 47-52 (1999)
• [文献書誌] R. Kitamura: "Field measurement of suction through Shirasu ground"First Asia-Pacific Conference & Trade Exposition on Ground and Water bioengineering for Erosion Control and Slope Stabilization. 470-476 (1999)
• [文献書誌] R. Kitamura: "A synthetic research strategy for prevention of natural disasters due to slope failures"Proc. XI Asian Regional Conference, International Society for Soil Mechanics and Geotechnical Engineering. Vol.1. 123-124 (1999)
• [文献書誌] 高田 誠: "二次しらす地盤の動的力学特性と液状化ポテンシャル"土木学会論文集. 631・III48. 61-69 (1999)
• [文献書誌] 宮本 裕二: "不飽和地盤の温度・サクションの現地計測およびモデル化"応用力学論文集. Vol.2. 539-598 (1999)
• [文献書誌] R. Kitamura: "Prevention system for natural disaster due to slope failure"Proc. Int. Sympo. on Slope Stability Engineering (IS-Shikoku),. Vol.1. 141-145 (1999)
• [文献書誌] R. Kitamura: "Field measurement of suction and rainfall in Kagoshima Prefecture"Proc. Int. Sympo. on Slope Stability Engineering (IS-Shikoku). Vol.1. 483-488 (1999)
• [文献書誌] Fujio, Y.: "Bearing capacities of piles in Shirasu ground"Proc. Second China-Japan Joint Symposium on Recent Development of Theory and Practice in Geotechnology. 128-133 (1999)
• [文献書誌] Lin, L.S.: "A calculation method for potential surface of sliding"Proc. Second China-Japan Joint Symposium on Recent Development of Theory and Practice in Geotechnology. 235-238 (1999)
• [文献書誌] Takada, M.: "An investigation on reuse of debris flow deposits as reclaimed geo-material"Proc. Second China-Japan Joint Symposium on Recent Development of Theory and Practice in Geotechnology. 389-392 (1999)
• [文献書誌] Yamamoto, K.: "Micoroscopic observation on localized deformation of reinforced foundation"Proc. Second China-Japan Joint Symposium on Recent Development of Theory and Practice in Geotechnology. 458-465 (1999)
• [文献書誌] Shibuya, S.: "Liquefaction resistance of volcanic soil from mount Pinatubo in Philippines, Geotechnical Engineering"Journal of SEAGS. 30・1. 59-65 (1999)
• [文献書誌] 安田 進: "乾湿・寒暖繰返しによる土のせん断特性の変化"第34回地盤工学研究発表会講演集. 2119-2120 (1999)
• [文献書誌] 安田 進: "しらす造成盛土の地震時安定性に関する検討"第35回地震工学研究発表会講演論文集. 433-436 (1999)
• [文献書誌] 梅村 順: "しらすの粒度・土粒子の密度特性と斜面表面浸食の関係"第34回地盤工学研究発表会講演概要集. 2149-2150 (1999)
• [文献書誌] 楊 俊傑: "不撹乱火山灰質粘性土のセメンテーション効果に起因したせん断強さ"土木学会論文集. 617・III46. 175-189 (1999)
• [文献書誌] 鈴木 敏行: "不飽和関東ロームの圧密特性"平成10年度第26回関東支部技術研究発表会講演概要集. 562-563 (1999)
• [文献書誌] 鈴木 敏行: "不飽和関東ロームの強度特性に関する一考察"平成10年度第26回関東支部技術研究発表会講演概要集. 564-565 (1999)
• [文献書誌] 清水 正喜: "不撹乱軽石風化土の排水せん断強度特性-一面せん断試験-"第34回地盤工学会研究発表会. 693-694 (1999)
• [文献書誌] 山口 真: "セメント系固化材を用いた火山灰質粘性土盛土の安定性の検討"平成10年度土木学会西部支部研究発表会講演概要集. 518-519 (1999)
• [文献書誌] 清水 正喜: "大山黒ぼくの物理的性質と1次元圧縮特性"土木学会中国支部第51回研究発表会. 367-368 (1999)