研究概要 |
本研究は河口二層流の非定常混合機構に関するものである。ここで、非定常要因としては風、潮汐、流量、外乱(うねり)などを対象としている。これらの要因の中で風、潮汐に関してはそれらの強度と界面を通しての連行量との間によい相関のあることが知られている。しかし、力学機構の解明には、未だ、多くの時間を必要とすることが予想されている。本研究の目的はその機構解明にある。 本年度は石狩川河口部の全長45kmにわたる感潮域において以下の観測を実施した。 1)6地点における表層塩分の2カ月にわたる自記記録、2)2地点における2週間にわたる鉛直6水深の塩分測定、3)3地点における2カ月にわたる超音波測深機による界面位置の計測、4)一昼夜にわたり河口において超音波測深機を用いた界面の観測と流速分布密度分布の観側、5)塩水楔の縦断観測データの解析は次年度以降にも行われるが本年度の解析結果は以下のように要約される。 1)従来,不明であった塩水楔全域にわたる界面水位の時間変動を解明するためのデータが得られ、2回潮における塩水楔の時間変動が解明できた。2回潮時の界面変動は潮汐のn倍になっておりnは河口7km程度までは漸増しそれより上では減少に転じ26km上流で、ほぼ、0に減衰する。 2)鉛直6水深の塩分測定により風速との関連が明白になった。風速の増加につれて界面からの塩分拡散が増強されるが上層内での濃度勾配は極めて小さい。すなわち、風により連行される塩分は直ちに上層内に拡散されることが確認された。 3)河川流量160m^3/sに対する風速対連行係数の関係が以下のように得られた。 E=2.2×10^<-6>e^<0.37w> 4)河口部での流速分布と密度分布が24時間にわたって測定されリチャードソン数の時間変動が求められた。この結果と超音波測深器による界面観測の結果が比較され、界面不安定がone-sidednessタイプであることも明らかにできた。 なお、主要な研究成果については土木学会北海道支部論文報告集に掲載されている。
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