研究概要 |
本研究は河口二層流の非定常混合機構に関するものであり,3年間の継続研究である.本年度はその2年目に当たる.本年度の観測結果は以下の様に要約できる. 1)2ケ月間にわたる常設の7地点での観測データの収集と2地点での水位観測,2)2地点における2週間にわたる鉛直6水位における塩分測定,3)3地点における2ヶ月間にわたる音響測深機による界面位置の計測,4)3地点における一昼夜界面観測(3回),4)塩水楔の縦断観測,5)気圧,風向風速(3地点)の観測,6)乱流計測. 詳細なデータ解析は次年度計画されているが,以下,本年度の観測結果ならびに数値計算結果を要約する. 1)従来,気圧をPヘクトパスカル,海面の上昇量を(hcm)としたとき,h=a(1010-P)が成立するとされてきた.しかし,今年度の記録によれば(1)式右辺の括弧内第一項目の1010が定数ではなく時間の関数であり,h=aΔpと表わされるべきであることが明らかになった.なお,Δpは気圧の変動値である.2)石狩川下流域の風は,石狩大橋付近でS方向の風は篠路そして分駐所と移動するに連れてSE方向におよそ45度ほど方向を変え,2倍強に加速される.一方,NWの風は風向が分駐所から石狩大橋にかけてNWの傾向を維持し,石狩大橋ではNNWにやや転向するものの風速値については場所によらない.3)KP10kmにおいては従来指摘された通り界面水位の位相は潮汐に対して遅れる.しかしKP4.5kmの界面水位は潮汐に対して,むしろ,位相が進むことが明らかになった.この傾向は数値計算の結果にも見出された.4)石狩川の界面抵抗係数は,従来f_i=CΨ^<-0.5>(C=0.2〜0.35),とされてきた.しかし,最近の,極めて長い塩水楔に関してはC=0.1とする必要がある. なお,主要な研究成果に関しては水工学論文集,および,土木学会北海道支部論文報告集に公表されている.
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