研究課題/領域番号 |
09450196
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 和夫 東京大学, 環境安全研究センター, 教授 (60143393)
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研究分担者 |
大瀧 雅寛 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (70272367)
浦瀬 太郎 東京大学, 環境安全研究センター, 助教授 (60272366)
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キーワード | ナノろ過 / 逆浸透法 / 水処理 / 下水再利用 / 低圧運転 / 分離機構 |
研究概要 |
逆浸透膜・ナノろ過膜の分離機構の解明のために、本年度は、特にヒ酸、亜ヒ酸、カコジル酸のヒ素化合物の阻止特性を調べるとともに、玉川浄水場に仮設のナノろパイロットプラントを用いて、各種イオンの各種膜による阻止特性を調べた。 ヒ素化合物の阻止特性の実験では、ヒ素の形態別分析手法をIC/ICP/MS法により確立し、実試料への適用可能性を調べた。その結果、ヒ酸、亜ヒ酸、カコジル酸の分離定量に成功し、本方法をナノろ過膜の評価に適用した。ヒ酸、亜ヒ酸については、イオンで存在するpH範囲で阻止率が高くなること、カコジル酸については、すべてのpH範囲で阻止率が高いことがわかった。これらの現象を塩化物イオン、硫酸イオンなど他の共存イオンの挙動とともに説明するために、ドナン平衡を加味したネルンストプランク式をイオンの数だけ連立させた式に各種平衡条件を組み入れたモデルを作成した。また、膜と溶質との親和性、および分子サイズによる立体障害因子をモデルに組み込んだ。その結果、膜の種類によって、適切に親和性を加味すれば、モデルによって挙動が説明されることが明らかになった。また、廃棄物処分場浸出水に各種ヒ素を添加した場合、地下水にヒ素を添加した場合、など溶液環境を変化させた実験も行い、モデルを検証に成功した。 一方、玉川浄水場に仮設のナノろ過パイロットプラントを用いた研究では、実際の河川水を精密ろ過によって前処理した原水を用いて、ナノろ過膜を2か月間の連続運転によって評価した。種々の脱塩率の膜を用い、また、正荷電の膜、負荷電の膜の両方を用いて実験を行った。また、得られた阻止率データーに対して前述のモデル(ただし、ヒ素化合物の場合と異なり各種の平衡は考慮不要である)を適用し解析した。塩化物イオンと硝酸イオンの阻止率の差が正荷電の膜では見られないことから親和性のファクターの考え方についてさらに考察をした。
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