本年度は、本研究の最初の年度であるので、基礎的な面について検討した。 先ず第一に、建物-地盤連成系を解析する代表的な3手法(F.E.M.モデル、格子モデル、S-Rモデル)のプログラムの整備を行った。 次に、建物-地盤連成系において重要な位置を占める減衰定数についての実状を把握するための常時微動測定およびその解析手法について検討した。 建物および周辺地盤の常時微動測定のために必要な携帯型常時微動測定装置を購入し、高層建物を中心に数棟測定を実施した。その結果と従来当研究室に蓄積されている常時微動測定結果を対象に、カーブフィット法、RD法、自己相関法等によって各モードに対応する減衰定数評価を行った。また、それらを比較することによって、各評価手法の長所短所を列挙し、各手法で評価された減衰定数間の関係を明らかにした。 カーブフィット法やRD法を対象に、計算機を用いて、予め設定した減衰定数を有する一質点系の変位の時刻歴を再現し、これを対象に減衰定数を評価した結果から、最適な測定記録時間および解析に最適な継続時間、平均化のための個数などの最適測定および解析条件を提案した。 最後に、各次固有周期、1次減衰定数と建物高さ、地盤の硬さ、アスペクト比、耐震壁率、単位面積当たりの柱の数等のパラメータとの関係を多変量解析により求めた。また、変位振幅レベルを考慮した2次や3次の減衰定数と1次減衰定数との関係を提案した。
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