以下の手順にしたがって柱梁溶接接合部試験体の高速載荷破壊実験を行った。 1.柱梁溶接接合部試験体において、工法の違い、歪速度の違い、試験温度の違いによる高速載荷破壊実験を行った 2.試験体の接合部と同じ溶接条件で溶接した溶着金属の引張試験、シャルピー衝撃試験、静的破壊靱性(J_<IC>)試験、動的破壊靱性(J_<ID>)試験を行った。 3.非線形破壊力学によるローカルクライテリアの導入する準備段階として、素材及び溶着金属のへき開破壊応力(σ_C)を求めるために、1mmR円周切り欠き付き丸棒試験片で、-196℃時の引張試験を行った。 なお追加採択分の交付であったため時間的余裕が無く、実験データの整理及び比較検討は今後行うことになる。また来年度も継続研究であることから本研究の展開の計画は次のとおりである。 1.すべての実験を整理して素材の力学的性能と、歪速度、試験温度が柱梁溶接接合部試験体の破壊性状と変形能力にどのような影響を及ぼすか比較検討をする。 2.3次元有限要素法解析により、溶接接合部試験体の破壊時の動的な修正J積分値を計算し、素材の動的破壊靭性値(J_<ID>)との関係を把握する。同様に静的なJ積分と静的破壊靭性値(J_<IC>)との関係も把握する。 3.梁スカラップの有無、歪速度の違いが接合部の変形能力とどのように関係しているかを解析的に検討する。 4.ローカルクライテリアを概念を利用して、接合部試験体の破壊挙動を把握する。 5.以上を総合して、実際に鉄骨加工業者が行っている溶接部の強度や、靭性についても考慮した上で、ノンスカラップ工法の優劣、歪速度の違いによる影響を解析的に検討する。
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