本研究の目的は、曲げ圧縮破壊支配型部材における横拘束高強度コンクリート構成則の定式化を行うことである。 平成9年度は、過去に実施された高強度横拘束コンクリート円柱及び角柱に対する中心軸圧縮実験結果を利用し、解析的な研究を以下のように実施した。 (1) 過去に実施された中心軸圧縮実験結果に基づいて、横拘束筋量と強度より決まる最大横拘束圧と、最大強度時横拘束圧の比を、標準シリンダー圧縮強度をパラメータとして表現した。また、最大強度時ひずみ度を、その時の横拘束圧と標準シリンダー圧縮強度の比で表現した。さらには、圧縮強度時横拘束圧をパラメータとした横拘束コンクリートの最大圧縮強度、最大圧縮強度時ひずみ度などの算定式を誘導した。 (2) 横拘束コンクリート断面を、コンクリートと横拘束筋それぞれを離散化モデルで表現し、軸圧縮力を受けた時の数値解析を行った。 (3) 様々な横拘束筋配置・形状に対して解析を行い、横拘束補強筋の補強効率を定量的に表した。 (4) 横拘束コンクリートに対して最大強度を与える条件を、横拘束圧で表現し、横拘束コンクリートの応力度-ひずみ度曲線の予測法を提示した。 以上の研究により、中心軸圧縮力を受ける横拘束コンクリートの応力度-ひずみ度関係を予測することが可能となった。 平成10年度には、2軸曲げを受ける柱の載荷実験を行った。本実験より得られた柱塑性ヒンジ域でのモーメント-曲率関係を、コンクリート標準シリンダー試験より得られた応力度-ひずみ度関係を用いた数値解析により予測し、そこで生じる差は、中心軸圧縮試験より得られたコンクリートの応力度-ひずみ度関係を曲げ圧縮を受ける領域に適用したためであると仮定し、その差を補うための補正係数を算出した。 さらには、繰返し載荷によるコンクリートの応力度ーひずみ度関係の劣化をモデル化し、これを用いて鉄筋コンクリート断面の曲げ解析を行った。その結果、コンクリートの材料的な劣化は、断面のモーメントー曲率関係の劣化には直接つながらず、軸力比など他の要因の影響が大きいことが明らかとなった。
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