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1998 年度 実績報告書

地震衝撃力をうける鉄筋コンクリート部材のせん断破壊機構に関する動破壊力学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 09450208
研究機関京都大学

研究代表者

富永 恵  京都大学, 工学研究科, 助教授 (90025924)

キーワードプレーンコンクリート / 鉄筋コンクリート / 片持梁 / 衝撃実験 / 曲げせん断破壊 / 破壊力学 / 破壊のトリガー機構 / 速度過程理論
研究概要

本研究は、衝撃的地震力をうける鉄筋コンクリート(以下RCと略記)部材に生じるせん断破壊現象を本質的に明らかにして、危険な脆性破壊を避ける合理的な耐震設計法を確立するため、以下の実験的・理論的研究を行った。
(1) 衝撃せん断破壊実験: 片持梁試験体の自由端に、高圧空気によって加速した落錘を当てる衝撃曲げせん断破壊実験を行った。また、比較試験体にたいして、油圧ジャッキによる静的曲げせん断破壊実験を行った。試験体の種類マトリックスは、無筋および単筋試験体、シャースパン比(1.5,2.5,3.5)、設定ひび割れ位置2種である。せん断ひび割れの進展状況、導入衝撃力、梁自由端と梁重心位置加速度、梁自由端たわみ、設定ひび割れの開口変位とずれ変位、主鉄筋およびコンクリートの動的ひずみ分布を測定した。その結果、衝撃力作用後1-2msec以内では、主としてせん断変形が部材軸方向に優先的に生じて、これによって破壊機構が決定するという、RC部材のせん断破壊に関して従来予測されていなかった全く新しい知見が得られた。
本研究は、現在、米国ノースウエスタン大学Prof.S.P.Shahと国際共同研究を行っている。
(2) 破壊力学的基礎理論:RC部材のせん断ひび割れ先端におけるひび割れ進展条件として、主筋の効果を考慮した混合モード応力拡大係数に関係づけたせん断破壊理論を作成した。現在、米国ラトガース大学Prof.M.Dendaと共に、衝撃力の効果を考慮した応力拡大係数K_I.K_<II>の数値解析的評価に関する国際共同研究を行っている。
(3) 高速加力を受けるRC部材のせん断破壊の確率過程理論:固体の破壊に関する確率過程理論をRC部材の曲げせん断破壊に適用している。外部から作用する衝撃的せん断力と部材の破壊域コンクリートの速度過程理論と関係づけて、RC部材のせん断破壊に関する確率過程理論を得ている。その結果、加力速度のせん断破壊強度に対する影響が理論的に評価された。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] 富永 恵: "兵庫県南部地震による構造物の被害とその破壊過程の考察" 日本機械学会講演論文集. 946-1. 196-197 (1996)

  • [文献書誌] 富永 恵: "確率過程理論にもとづく鉄筋コンクリート部材のせん断破壊の考え方(その1:推移確率の誘導)" 日本建築学会近畿支部研究報告集. 構造系 第36号. 369-372 (1996)

  • [文献書誌] 富永 恵: "曲げせん断力を受けるRC部材の破壊力学的せん断破壊理論(その1:理論式の誘導)" 日本建築学会近畿支部研究報告集. 構造系 第36号. 373-376 (1996)

  • [文献書誌] 富永 恵: "兵庫県南部地震による阪神高速道路RC橋脚の被害状況の謎と問題点" 日本建築学会近畿支部研究報告集. 構造系 第36号. 165-168 (1996)

  • [文献書誌] 富永 恵: "多段破壊確率過程を用いた鉄筋コンクリート部材の曲げせん断破壊理論(その1: 基本概念の構成)" 日本建築学会近畿支部研究報告集. 構造系 第37号. 409-412 (1997)

  • [文献書誌] 門田 摂: "多段破壊確率過程を用いた鉄筋コンクリート部材の曲げせん断破壊理論(その2: 解析と結果)" 日本建築学会近畿支部研究報告集. 構造系 第37号. 413-416 (1997)

  • [文献書誌] 富永 恵: "加力速度によるRC構造部材せん断破壊モードの変化に関する確率過程理論(その1:基本概念の構成と基礎理論)" 日本建築学会近畿支部研究報告集. 構造系 第38号. (1998)

  • [文献書誌] 富永 恵: "加力速度によるRC構造部材せん断破壊モードの変化に関する確率過程理論(その2:力学システム中のパラメーターの特定方法と数値解析結果)" 日本建築学会近畿支部研究報告集. 構造系 第38号. (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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