研究概要 |
1.前年度までに行った「風向を加味した9タイプの地形形状別の風速分布特性」の分析結果を総括し,新たにスプライン曲線近似手法により観測地点の形状モデル化を行った。この形状モデルに,これまでの所見を対応させ,強風観測資料および分析結果のデータベース作業の最終整理を行った。 2.強風観測における風車型風向風速計の鉛直方向成分の影響を風洞実験により検討した。検討した結果,一般に言われている2秒程度の風速変動に対する応答性能は,傾斜角とともに性能低下が著しいこと,傾斜角に対する指向性が10度以内であることがわかった。 3.九州地区での強風アレー観測システム(NeWMeK)のデータと観測地点地形情報の一元管理を行うデータベースを構築し,データベース資料の中から,九州全域でほぼ同じ風向を維持する冬季の春季の季節風時の風速分布時系列を解析することによって,風向別に観測地点の風速割増係数を推定した.その結果を用いて,九州地区全体に一定風速分布を与えた場合に,地形の影響によって増速する地域を仮想風速分布として視覚化したところ,これまでの観測データと非常に良い対応を示すことがわかった。 次いで,これまでのNeWMeKデータ分析から確認されている強風特性の特徴的な地域として福岡市西部地区を選定し,これまでの実測データを検証したところ,南よりの風向に対して増速傾向が強いなど,特定の風向に対してのみ強い突風率を示すなど局地性の強い地域の検証例を示した。
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