研究課題/領域番号 |
09450217
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
水野 稔 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30029269)
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研究分担者 |
下田 吉之 大阪大学, 先端科学技術共同研究センター, 助教授 (20226278)
大西 潤治 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50089877)
中村 安弘 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20029268)
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キーワード | 丘陵地 / 気候資源 / 環境共生住宅 / 住宅地開発 / 気温場 / 風向風速場 / 都市気候 / 傾斜地 |
研究概要 |
1. 気温分布の発生機構に関する考察 昨年度に引き続き、地形の変化を有する地域の気温分布とその成因に関する考察を行った。(1)日夜各々の最高・最低気温の発生域には、季節に依存しない地域特性がある。(2)夜間の最低気温発生地域では、冷気流が気温低下に貢献する。冷気流の影響範囲は300m〜500mと推測される。(3)自然地域の境界では、風況の変化で気温分布形状に変化を生じるが、傾斜地域では大局場の風に加え密度差流も影響を及ぼす。(4)平坦地域と異なる気温分布の形成要因として、地形による日射環境の変化や、冷気流の存在、局所風が重回帰分析から抽出された。 2. 夜間斜面冷気流の発生機構 上述の冷気流観測地域において定点観測を行い、冷気流の構造や発生機構について考察した。(1)冷気流は夕刻日没以前から安定して発生し、日の出を迎えるまで終息しない。(2)冷気流の流れと気温の低下は同期している。(3)冷気流の風速は最大で1.0m/s程度の微風である。(4)観測は斜面上の草地帯で行ったが、周辺の植生は冷気の生成に関与しておらず、熱源は斜面上方の森林帯と推測される。 3. 周辺住民の環境知覚と生活の変化 調査対象地域の環境知覚と生活への影響に関して、周辺住民に対するアンケート調査を行った。また、比較のために隣接市街地でも調査を行った。(1)調査対象地域(以下丘陵地域)と市街地間で冷房用エネルギー消費量(対ベース消費量比)を比較すると、丘陵地域は有意に少ない。(2)丘陵地域の気候については、「都心との温度差」や「朝夕の涼しさ」、「特徴的な風」を感じる人が多く、肯定的意見が多数を占める。(3)屋外環境の快適構造を検討した結果、丘陵地域と市街地域では影響因子が異なる。(4)丘陵地域と市街地域間には物理環境と環境知覚の両方に相違があるが、丘陵地域内では物理環境に環境知覚が対応しない。
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