研究課題
医療機能の高度化や患者の高齢化に伴って医療概念が多様化してきている。このような医療環境の根本的な変化を背景として、老人保護施設や居宅が新しく医療を提供する場として定義されたり、今までの一般病院において特定機能病院や療養型病床群を含む機能分化が進んでおり、こうした医療施設の変化に伴う新しい医療施設環境評価手法の確立が望まれている。本研究はこれらの類型に対応した医療施設環境評価手法の確立に向けて、環境構成要素・患者心理・医療機能等の相互関連を明らかにすることを目的としている。本年度は以下の3つの視点から検討を行った。1)医療施設環境評価に関連した文献レビュー医療施設環境評価に関連した評価研究・評価マニュアルなどを対象として、評価項目の構成や評価方法について資料の整理・分析を行った。2)医療施設環境を評価する軸相互の関連性の整理医療施設環境を評価するための種々の評価軸を、まず、それぞれ個別に検討し、その後、それぞれの評価軸が相互に関わり合っていることについて問題を提起し、それらの関係を明らかにした。この分析においては、評価の対象を建築に置き、主として病棟について検討を行った。3)医療施設環境の物理的特性に着目した評価手法の検討病院の平面図から客観的に計測することが可能な評価項目(各諸室面積、各室間距離、施設の有無等)を選定し、既存の病院を対象として分析を行った。