研究課題/領域番号 |
09450230
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
飯島 嘉明 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70005411)
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研究分担者 |
藤川 辰一郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50005344)
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キーワード | カーケンドール効果 / ダーケンの関係式 / 相互拡散 / 異相界面 / 非平衡空孔 / Au-Fe / Au-Ni / トレーサー拡散 |
研究概要 |
単相拡散対を用いた実験においては、相互拡散やカーケンドール効果はダーケンの式によってまったく矛盾なく説明されている。しかし、2つの相から構成されて異相界面を有する多相拡散対を用いた場合には、相互拡散の基本式であるダーケンの関係式が成立しない場合があることが本申請者らの研究によって明らかになってきた。これらは界面の非平衡特性に関係するものと考えられる。そこで本研究では、多相拡散におけるこの問題を明らかにするため、Au-Ni、Au-Fe系において相互拡散係数、固有拡散係数およびトレーサー拡散係数を測定し、それらを比較検討した。その結果以下のことが明らかにされた。 (1)全率固溶温度域においてAu/NiおよびAu/Au-36Ni拡散対から求めた相互拡散係数を比較した結果これらは一致せず、単相拡散対においてもダーケンの関係式が成立しないことが明らかにされた。(2)Au/Ni拡散対において求めた固有拡散係数の組成依存性はダーケンの関係式から算出されるものと異なっていた。これは空孔濃度が平衡であるという条件を満足していないことを示唆している。(3)Au/γFe拡散対における相互拡散はダーケンの関係式から予測されるものより抑制されることが明らかにされた。Au/αFeおよびAu/γFe拡散対において固有拡散係数の組成依存性を求めた所、Au/γFe拡散対における相互拡散の抑制はγFeからの空孔流束が不十分であることによると示唆された。(4)Au-Fe固溶体においてトレーサー拡散係数からダーケンの関係式を用いて求めた相互拡散係数とAu/Fe拡散対から求めた相互拡散係数は一致しないことが明らかにされた。
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