研究課題/領域番号 |
09450233
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
井野 博満 法政大学, 工学部, 教授 (20029466)
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研究分担者 |
崎野 清憲 法政大学, 工学部, 助教授 (20120818)
直井 久 法政大学, 工学部, 助教授 (00297996)
松浦 真 宮城工業高等専門学校, 教授 (40042262)
徳満 和人 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (20180143)
市野瀬 英喜 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (30159842)
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キーワード | クラスター / 超強磁性 / 超常磁性 / 磁化 / ランジュバン関数 / 磁気クラスター / 希土類・鉄合金 / メルト・クエンチ |
研究概要 |
本研究で展開した強磁性結合する合金クラスター系の磁性モデル-筆者らは超強磁性モデルと呼んでいる-は、クラスター内の強磁性結合の強さを表わすキュリー温度T^<intra>_cとクラスター間の強磁性結合の強さを表わすもう1つのキュリー温度T^<inter>_cを系を特徴づけるパラメータとして、磁化の挙動を解析するものである。このモデルにもとづき、希土類-鉄系磁性合金の1つであるPr-Fe系について解析を行った。メルトクエンチしたPr-Fe系は常磁性のPr結晶相とアモルファス相の混晶となるが、このアモルファス相に濃度ゆらぎが生じて磁気クラスターが形成され、本モデルに適合した磁気挙動を示す。温度Tおよび磁場Hをさまざまに変えて測定した磁化M(T.H)がこのモデルによって1つのユニバーサル関数に乗ることが明らかになり、そのときのT^<intra>_c、T^<inter>_c、クラスターの大きさなどを決めることができた。 このように、筆者らが提案している超強磁性モデルは、液体急冷RE-Fe合金で得られる不均一系の磁性を説明するのに有効であることがわかった。このモデルは強磁性クラスター間に強磁性的な結合を考えたモデルであり、RE-Fe系に限らず、また、クラスターがアモルファス相か否かにかかわらず、より広く不均一系の磁性の解析に役立つと考えられる。このモデルが扱う対象である磁気不均一系に対してはクラスターグラスという考え方があり、やはり磁気クラスターの分布や相互作用をモデル化している。クラスターグラスモデルにくらべて超強磁性モデルの特徴は、クラスター間の強磁性相互作用が支配的である場合にはその大きさを与えるT^<inter>_cやクラスターの平均磁気モーメントが求まり、具体的なイメージがつかめる点にある。
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