研究課題/領域番号 |
09450242
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
水谷 惟恭 東京工業大学, 工学部, 教授 (60016558)
|
研究分担者 |
脇谷 尚樹 東京工業大学, 工学部, 助手 (40251623)
篠崎 和夫 東京工業大学, 工学部, 助教授 (00196388)
|
キーワード | エレクトロセラミックス / 微構造 / 液相 / 粒界形成ダイナミクス / 薄膜 / バリスタ / 酸化亜鉛 / 酸化ジルコニウム |
研究概要 |
今年度はセラミックスおよびセラミックス薄膜中に化学的に誘起させた粒界の電気特性ならびに粒界の形態について研究を行った。具体的な材料はZnOとZrO_2である。 Pr_6O_<11>をドープしたZnOについては昨年度の研究で液相が1382℃付近で生成すること、液相生成温度はバリスタ特性の発現に必要なCo_3O_4のドープにより最大100℃低下することを明らかにしている。本年度はこのことを利用してあらかじめPr_6O_<11>のみをドープしたZnO焼結体を作成し、焼結体の上面にCo_3O_4からなるペーストを塗布して、熱処理を行った。この処理(化学的粒界誘起処理)により粒界部に選択的にZnO-Pr_6O_<11>-Co_3O_4系の液相を生成させことができた。電流-電圧特性測定から、化学的粒界誘起処理前にはオーミックな電流-電圧特性を示していた試料が処理後には非オーミックなバリスタ特性を示すことが明らかになった。 MOCVD法で作成したZnO薄膜についてもBiを拡散させた試料は非直線的な電流-電圧特性を示すのに対して、Bi未拡散試料は直線的な特性を示す。このことはBiがZnO薄膜の粒界部に拡散していることを示唆する。本実験におけるBiの拡散は基板上にまず金属Bi薄膜を成膜し、その上にZnOを成膜する方法により薄膜の下部から上部方向に対して行った。Biを下部から拡散させたZnO薄膜についてXPSを用いて表面組成測定を行ったところ、Biが検出された。この結果はBiは成膜中にZnOの粒界部を通して拡散し、上部に達したことを示唆する。 MOCVD法で作成したY_2O_3安定化ZrO_2薄膜の断面をTEMを用いて観察した。TEM観察結果を薄膜の複素インピーダンス測定と組み合わせて考察した結果、薄膜の電気伝導性はZrO_2の結晶粒の方位の乱れによって変化することが、明らかにされつつある。
|