多結晶セラミックスの高温変形と流動(高温レオロジー)に関する研究を通じ粒界すべり機構の定量化を行い以下の成果を得た。 (1)高温粘弾性の定量化に不可欠な単純せん断応力あるいは歪みを試片に付加し、その際のクリープ変形あるいは応力緩和を定量化する高性能高温試験計測装置の開発を行った。 (2)粒界すべりと粒間拘束機構を定量的に組み込んだ多結晶焼結体の粘弾性構成方程式の理論導出を行った。これにより、従来の慣用クリープ試験に加え、応力緩和試験からも粒界レオロジー解析が可能となった。 (3)2相系セラミックスの高温粘弾性試験(クリープ、応力緩和)を行い、粒界相の粘性流動、焼結粒の弾性変形を分離定量化した。 (4)新規な「協調粒界すべりモデル」を提案し、その超塑性変形・流動過程における重要性を明らかにした。理論考察より超塑性変形に寸法効果の存在することを世界で始めて立証した。 (5)ジルコニア超塑性体の単純せん断変形の下で粘弾性挙動を超塑性変形に結び付け、Zener緩和、粒間拘束、協調粒界すべり機構の解明を行った。 (6)鋭角圧子の圧入・除荷過程に線型粘弾性構成方程式を適用し、新規な微視領域粘弾性計測・解析手法を確立した。 (7)鋭角圧子を用いた微視領域高温粘弾性計測装置を開発し、各種ガラス相の粘弾性挙動を定量化した。
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