研究課題/領域番号 |
09450244
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
曽我 直弘 京都大学, 工学研究科, 教授 (80026179)
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研究分担者 |
松岡 純 滋賀県立大学, 工学部, 講師 (20238984)
田中 勝久 京都大学, 工学研究科, 助手 (80188292)
平尾 一之 京都大学, 工学研究科, 助教授 (90127126)
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キーワード | 高密度化 / ソーダ石灰ガラス / インデンテーション / シリカガラス / 塑性流動 / 熱緩和 |
研究概要 |
無機ガラスに大きな応力が加えられたとき、通常の脆性破壊以外に、ガラス組成によっては、塑性変形などの非脆性(非線形)破壊挙動を生じることを、本研究者の代表者・分担者らは以前に報告してている。本研究では平成9年度には、非脆性挙動が顕著に現れる圧子押込み法を用い、その際に生じる永久変形の変形機構について研究した。ガラスへの圧子押込み(インデンテーション)による永久変形は微視的な塑性流動と圧縮による高密度化が原因であり、圧子形状やガラス組成でにより両者の寄与の割合は変わると予想される。高密度化が原因の場合は、熱処理による緩和現象(圧痕の回復)が観察される。そこで本研究ではシリカガラスとソーダ石灰ガラスに低荷重で圧痕を生成し、負荷荷重と圧痕の回復量の関係および熱処理温度、時間による回復量の変化を調べた。1000℃4hの予備熱処理を行ったシリカガラスと500℃で予備熱処理を行ったソーダ石灰ガラスに、表面に蒸留水を滴下した状態でヌープ圧子を押込み、圧痕を生成した。打ち込み後、300-1000℃で熱処理を行い、圧痕の長さの収縮量を算出した。シリカガラス、ソーダ石灰ガラス共に、負荷荷重が大きいほど圧痕の回復の度合は小さく、負荷荷重の増大は高密度化よりも、塑性変形のような不可逆的な物質移動を促進することが判った、シリカガラスでは、Tanneal/Tpre-anneal=0.7(Tanneal=600℃)付近で変化量が急増し、Tg以下でもこの温度域以上では物質移動が起こりやすくなることが判った。一方ソーダ石灰ガラスでも、シリカガラスの半分以下ではあるが押込み変形の回復が認められ、シリカガラスほどではないが、押込み変形の際に高密度化が生じることが判った。また、いずれのガラスでも体積流動の見かけの活性化エネルギーは30kJ/mol以下で、粘性流動での値(>400kJ/mol)より、はるかに小さかった。
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