研究概要 |
1.気相法炭素繊維(VGCF),強誘電体粒子(チタン酸バリウム,BaTiO_3)をポリマーマトリックス(塩素化ポリエチレン,CPEおよびナイロン6,PA6)に分散させた3成分複合材料の動的力学的性質の測定から力学的損失正接を求め、材料の損失係数の炭素繊維体積分率の影響やマトリックスと強誘電体との相互作用の相違が減衰特性にどのような影響を与えるかを解析した。 (1) BaTiO3/CPE/VGCF系複合制振材料においてBaTiO_3の一定体積分率に対し複合材料の損失係数はVGCF8%で極大を示し、これは2段階のパーコレーション挙動の後期のしきい値に対応する。ポリエチレンマトリックスの結果と比較するとLDPEでは結晶分散領域で損失係数が増大するのに対しCPEでは室温領域の実用温度域で圧電・導電効果が発現する。 (2)CPEに比べて弾性率の大きいPA6では、音響エネルギーの強誘電体への伝達効率が大きいため、実用温度域での損失が大きい。 2.VGCF,有機誘電体(4,4'-Tio-Bis(3-methyl-6-tert-buthylphenol,BPSR)、アクリルゴム(Nipol AR3l)の3成分複合材料ではAR3l/BPSRでの水素結合により弾性率および力学的損失正接を大幅に増大させる。さらにVGCFを添加することにより貯蔵弾性率を顕著に増大させ、VGCFが3VOL%以内であれば、損失係数を低下させることなく貯蔵弾性率を大きく増大させることが可能である。
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