研究概要 |
最近,水素吸蔵合金の重要性が高まり,新規水素吸蔵合金の開発とならんで既存の水素吸蔵合金の使用寿命を長くすることが切望されている。本研究は水素吸蔵合金の劣化の原因を解明し高寿命化を図ることを目的として,合金設計と組織制御の立場から,Hf基金属間化合物の水素吸蔵特性を測定・評価した。HfとM=V,Cr,Mn,Mo,Fe,Co,Ni,Cu,Pdからなる金属間化合物のうち,水素を吸蔵すると予想されるHfM_2,HfMおよびHf_2Mに着目した。まず高圧DSCを用いて,全合金の水素吸蔵の概略を把握した。その結果,HfNiとHfCoのDSC曲線は水素の吸蔵・放出に起因する鋭い発熱・吸熱ピークを示し,PCT曲線に圧力プラトーが存在すると予測された。実際に,高圧ジ-ベルツ装置を用いて測定したPCT曲線は圧力プラトーを示した。X線回折(XRD)により,それぞれCrB構造を有するHfNiH_3とHfCoH_3の金属水素化物が生成することが分かった。これらのほかに,NiHf_2,CoHf_2,FeHf_2,Cr_2Hf,PdHfおよびPdHf_2は固溶体を形成して水素を吸蔵した。他方,Co_2Hf,PdHf_2およびFe_2Hfでは水素吸蔵は認められなかった。HfNiとHfCoの最大水素吸蔵量はそれぞれ,約1.6(H/M)と約1.5(H/M)と多く,1.5wt%であることが分かった。他方,Cr_2Hf等は固溶体状態で約0.9(H/M)の水素を吸蔵した。100回の水素吸蔵・放出サイクル後,走査電顕(SEM)により試料の形態を観察した。水素化物を形成するHfNiはやHfCoは固溶体を形成するCr_2HfやHfV_2に比べて著しく微粉化することが分かった。
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