| 研究概要 |
本研究の目的は主として急冷法によるアモルファス合金薄帯からなる2層薄帯を作製し,その特性を明らかにすることである。異なる合金組成からなる2層薄帯は新奇な性質を示すことが期待される。我々は次の3種類の2層材を作製し,その性質を調べた。(1)Fe基/Co基合金からなる2層アモルファス薄帯および結晶化温度の異なる2種類のFe基アモルファス合金からなる2層薄帯,(2)Fe-Ni-Pを無電解めっきしたCuワイヤ,(3)アモルファス薄帯を基板とする電析したCo基合金。研究結果の概要は下記の通りである。
(1) Fe基/Co基アモルファス2層合金薄帯は低磁場で2段磁化曲線を示した。これは内部応力によって誘起される2層構造の磁区によるものである。Fe基/Fe基アモルファス2層薄帯の鉄損は個々の単相材を単に重ね合わせたものの鉄損より高い値を示した。2層材の鉄損劣化は焼鈍によって誘導される応力による垂直磁化の形成による。Fe基/Fe基アモルファス2層薄帯の一方をファインメット組成(FeSiBNbCu)とすると,この2層薄帯は焼鈍温度によって相の異なる組み合わせの薄帯となる。すなわち,アモルファス/アモルファス,アモルファス/ナノ結晶,結晶/ナノ結晶,の3種類である。このうちアモルファス/ナノ結晶材は応カセンサに適した特性を示した。
(2) 従来のMI効果はアモルファスワイヤで見いだされたもので,磁歪負のアモルファスワイヤに高周波電流を通電すると表皮効果によって発生したインピーダンスが外部磁場の大きさによって高感度に変化する。われわれはCu細線にパーマロイめっきすることにより表皮効果を使わない方式の磁界センサが可能であることを示した。
(3) Fe基アモルファス薄帯を基板としてCo-Fe-B合金を無電解めっきした2層材をアニールすると,基板の収縮により磁歪正のめっき膜の磁化が垂直に立つことを見いだした。
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