| 研究概要 |
Nbは融点が2470°Cと高く,密度は8.5g/cm^3と他の高融点金属(W:19.3g/cm^3,Re:21.0g/cm^3)に比べて相当小さいため,耐熱材料の高強度化にとって有望な合金元素である.NbをNiに固溶限以上添加するとD0a型構造を有する金属間化合物相Ni_3Nb(δ相)が生成する.この化合物相は組成幅を持ち、融点(1673K)まで安定であるため高温構造材料としては有望な化合物であるが、結晶構造の対称性がよくない.そこで本年度は、まず、Ni-Nb-M3元系の1473Kにおける状態図を作成して、δ相中への第3元素の固溶量を明らかにする.ここで第3元素Mには、Niと同族元素であるFe、CoおよびNi_3M化合物を形成するAl、Ti、Vの5種類を選択した.その結果、δ単相領域はFe、Coの場合Nb等濃度方向に、一方、Al、Ti、Vの場合はNi等濃度方向へと拡張し、前者はNi_3MのNi副格子サイトに、後者はNb副格子サイトに置換型に固溶することを見い出した.また、それらの固溶量はAlの場合2at%と少ないのに対し、Fe、Co、Tiは10at%、Vは20at%であることを明らかにした.これらの結果に基づいて、第3元素の固溶に伴うδ相の格子定数変化を調べた結果、δ相の結晶構造の対称性はAlの固溶に伴って著しく劣化するが、他の元素が固溶すると向上し、特にCoの効果が大きいことが明らかとなった.
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