本研究は、高比強度高温構造材料として注目されているTiAl金属間化合物の実用化を実現するための二相ラメラ組織の配向を制御する技術を確立することを目的としている。本年は、広い組成範囲を有するこの化合物の中でγ相の量を比較的多くすることのできるTi-46mol%Alを対象に、Ti-41mol%Al合金で見出したα単相域での加工とそれに続く二相域での熱処理の組み合わせによる配向制御法が適用可能であるか否かを知ることを目的に研究を進めた。 α単相状態で種々歪速度を変えて調べた結果、アルミニウム濃度を増加させたこの合金では動的再結晶が生ずる条件がかなり限られること、変形後の組織はいずれも41mol%Al合金と類似した繊維集合組織を形成していること、繊維集合組織は歪量を増大させるほど発達することなどが判明した。また二相化した状態でのγ相の結晶方位分布はα相の結晶方位分布に支配されていることがわかった。これらの結果からγ相の量の多い本組成においても、低アルミニウム濃度合金について提案した方法による配向制御が可能であると結論した。さらに、α相領域からの冷却速度が及ぼすラメラ相の間隔への影響を調べ、配向のみならずラメラ間隔をも制御した組織制御法を提案するための基礎的な情報を得た。
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