研究概要 |
本研究ではナノサイズのセラミックス、金属、高分子が第2相としてセラミックスの結晶粒内に分散した、セラミックス/セラミックス、セラミックス/金属、セラミックス/高分子系ナノ複合材料を焼結法や電気化学的手法で作製し、それらのミクロ及びナノ構造を高分解能電子顕微鏡等で観察すると共に、製造したナノ複合材料の強度・靭性等の機械的性質を高温まで評価し、ナノ分散した粒子の役割を明確に把握する。ついで、分散粒子が本来の特性を維持しえない限界寸法を明らかにすると共に軟らかいナノ粒子が材料を強靭化する機構を明確にすることで、セラミックス/金属/高分子を相互ナノ分散させた新規な融合材料創製のための設計指針の構築を目指し、以下の実績を得た。 1) セラミックス(Al203、S_i3N4、M_gO、Z^rO2など)に第2相セラミックス(S_iC、S_i3N4など)や金属(M_o,N_i,T_i,W,F_e,C_o)を分散した各種ナノ複合材料を、通常の混合粉末の焼結法や、還元焼結法で作製し、比較検討を行った結果、還元焼結法で作製した複合材料の方が均一な組織をしめし、また、優れた磁気的、機械的性質を示した。 2) 上記のための混合粉末を、ゾルゲル法や共沈法で作製し、原子レベルでの均一混合粉末を作製するプロセスを確立するために、ゼータ電位測定装置を用いてスラリー安定化条件を探り、複合粉末を作製した結果、高分解能透過型電子顕微鏡観察から数ナノから数十ナノサイズの非常に微細な混合粉末の作製が出来た。 3) 高分子/セラミックスナノ複合材料を作製するため、マトリックスとしてエポキシを用いまた第2相としてはアルミナやシリカなどを用いた。これらの粉末を熱硬化する手法によりナノ複合材料を作製し、評価した結果、セラミックスナノ粒子はエポキシの特性に大きく影響を与え、エポキシを構成する分子の数オングストローム程度の隙間が減少し熱的、機械的特性の改善をもたらした。 4) 作製した各種ナノ複合材料の破壊強度、靭性、硬度、耐熱衝撃性、熱伝導率などの機械的性質、熱機械的性質を室温から高温まで既設の装置を用いて評価したところ、各々の系において、機械的、熱機械的性質がナノ構造を示す場合優れた特性が得られ、セラミックス/金属/高分子系融合材料の創製が可能であることが示された。
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