| 研究概要 |
プラズマエッチングおよび反応性イオンエッチング環境における装置構成材料の腐食挙動と腐食機構を明らかにするために,CF_4/O_2混合ガスプラズマ排気系において各種金属材料の腐食試験,気相化学種分析および表面組成分析を行った。得られた主要な成果は次のようにまとめられる。
1.各種純金属および合金の腐食特性:温度573K,ガス組成CF_4-11%O_2の条件で腐食試験を行った結果,Ta,Ti,W,MoおよびCrでは質量が減少し,Fe,ステンレス鋼および鋳鉄では質量が増加するが,Ni,CoおよびCuでは質量変化はないことが分かった。次に,温度(298〜723K)とO_2濃度(5〜50%)の影響を調べた結果,腐食速度と温度との間にはアレニウスの関係が成り立つこと,腐食速度はO_2濃度15〜20%のときに最大になることが分かった。
2.プラズマ化学種および反応生成ガス種の分析:発光分光分析法と質量分析法を用いて気相化学種の種類と濃度を分析した結果,主要な気相化学種はF,HF,O,CF_3,COF_2,CO_2であること,および腐食反応に関与するFおよびHF濃度は18%O_2の時に最大となることが分かった。
3.腐食試験後の試料表面の化学組成の分析:試料表面の化学組成の変化を調べた結果,W上には腐食生成物はなく,Ta,Ti,Mo,Cr,Al,Fe,鋳鉄およびステンレス鋼上にはオキシフッ化物皮膜が生成すること,Co,NiおよびCu上にはフッ化物皮膜が生成することが分かった。
4.腐食機構の解明:気相化学種分析および表面分析の結果,ならびに酸化物-フッ化物の熱力学的ポテンシャル図および蒸気圧-温度曲線に基づいて腐食機構を考察し,CF_4/O_2混合ガスプラズマ排気系では酸化物よりもフッ化物あるいはオキシフッ化物の方が安定であり,フッ化物の蒸気圧が高い金属はこの環境で侵食を受けることを明らかにした。
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