研究概要 |
本研究は,焼結特性の異なる異種セラミックス複合材の成形についてまず各材料の焼結特性を明らかにした上で,成形品の表層への圧縮残留応力付与により強度の向上を図る方法を提示するものである.平成10年度の研究では,最初に,新しく問題になった脱脂時に生じるゆがみについて検討し,続いて焼結時の変形と残留応力特性を明らかにした.得られた結果を以下に要約する. (1) 成形品内には射出成形時に分子の伸縮に基づく残留ひずみが作り込まれ,脱脂工程の昇温時にこれが解放されて大きな変形を生じることがわかった. (2) 焼結工程における密度の上昇は成形助剤の量に依存するが,アルミナの場マグネシアの添加量を変えたときの焼結速度の差は1,400℃〜1,500℃において大きく,1,600℃では飽和に近づくことがわかった.そしてその結果を近似式で表示した. (3) 焼結時の応力による変形特性を両端支持梁モデルの変形より測定した.その結果はひずみ速度を応力密度,及び温度による式として表すことができた. (4) 焼結助剤の量が異なる材料を組み合わせた3種構造の試験片を製作し,焼結後ひずみゲージにより切断前後のひずみ変化の測定を行った.その結果,焼結助剤の多い部分に引張りの残留応力,焼結助剤の少ない部分に圧縮の残留応力が生じることが確認された,この結果は,適当な量の焼結助剤を含む材料を表面に配することにより表面に圧縮の残留応力を付与した構造を作ることが可能であることを示すものである.
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