本研究は塑性加工におけるミクロ接触状況を定量的に理解するために、工具表面に被加工材から移着した表面生成物のキャラクタリゼーションと加工プロセス中に種々の測定機を用いて定量化し、塑性加工界面におけるマイクロトライボロジー挙動を検証することを目的として、本研究室に現有するすべり圧延形試験機を用いて熱間すべり圧延中に各種トライボロジー条件を変化させて試験を行い、工具表面に被加工材および潤滑剤から生成される表面生成物のキャラクタリゼーションとして蛍光X線分析器、グロー放電分析器などを用いて分析を行った。 本年度は、鋼板の熱間圧延の工具-潤滑剤-材料の界面をシミュレートする熱間すべり圧延のシミュレーションにおいて工具表面に生成する表面生成物のキャラクタリゼーションを行った。材料としては、熱間圧延材、工具としてはハイス、潤滑剤としてはCa系スルフォネート含有の潤滑油を用い、950°Cに加熱した材料をすべり圧延する際に工具表面に生成した生成物の分析を行った。この結果から熱間圧延時のロールと材料間に導入される潤滑油の量を定量化することができ、潤滑油に添加したCa系化合物の形態を分析する事が可能となった。
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