塑性加工中に被加工材の表面物質が工具表面に付着し生成するコーティングは、トライボロジー結果に対して大きな影響を与えることが知られている。コーティングに関して、粗さ、構成物質といったマクロな情報は既に得られているしかしながら塑性加工界面におけるトライボロジー特性の把握には、例えば生成したコーティング中の炭化物や酸化物の分布状態といったミクロな情報やコーティングの経時変化といった情報が必要だと考えられる。 そこでアルミニウム冷間圧延中に生成するロールコーティング表面の分析や経時変化の情報を得るために、新たに圧延ロールが直接付着可能な試料ステージを作製し、X線解析(薄膜法)による表面分析を行った。加えて通常用いられるスリットの代わりにコリメータを用いてX線を絞り、コーティングの微小領域の分析を開発した。 本研究では、このロールコーティング微小領域分析法の開発過程および実用性について検討し、コリメータを用いた微小部X線回析によるロールコーティングの分析は実用的であるといえた。 また、この試料ステージを用いた分析方法ではロールを試験毎に消費しないことから、加工した供試材の量に応じたコーティング表面の経時変化を調査することが可能であることがわかった。
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