研究課題/領域番号 |
09450277
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
永田 和宏 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (70114882)
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研究分担者 |
福山 博之 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (40252259)
須佐 匡裕 東京工業大学, 工学部, 助教授 (90187691)
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キーワード | たたら / 砂鉄 / 炉内反応 / 製錬 / 新製鉄法 |
研究概要 |
我国古来の製鉄法である「たたら製鉄」の精錬機構を解明し、新製鉄法の指針を得た。 (1)小型たたら炉を構築し、直接、鋼(けら)を造る構造(炉内法230x345高さ1200mm、下半分は珪石レンガで上半分は鉄板、1本羽口)と、直接、銑鉄(ずく)を造る構造(炉内法230x460高さ1200mm、上まで珪石レンガ製、2本羽口)を考案した.(2)「たたら操業」を14回(けら造り11回、ずく造り゙3回)実施した。(3)炉内状況を調査するため炉底、羽口前および羽口上に熱電対と酸素センサーを設置し、温度および酸素分圧をモニターした。排出されるスラグ(「のろ」)と「けら」および「ずく」の分析を行った。さらに炉を操業途中で止め調査を行った。(4)日本美術刀剣保存協会主催の「たたら製鉄」(島根県仁多郡横田町鳥上)の築炉および操業方法を調査した。(5)以上の調査より「たたら炉」における精錬機構を解析した。 以上の結果、たたら製鉄の特徴は低温度操業(約1350℃)、高酸素ポテンシャル(約1x10^<-12>atm)、急速加熱・急速反応(砂鉄投入から20〜30分で鋼あるいは銑鉄になる)であり、炭素濃度が1.5〜3.5%でシリコン濃度はほとんどトレース程度であり、リンと硫黄濃度も溶鉱炉法より低い値であることが分かった。このシリコン結果は熱力学的平衡から予想される値より非常に低く、現代製鉄法の製鉄原理とは異なっている。 (6)たたら製鉄法の原理を現代製鉄法に応用するため、炭材内装ペレットを用い銑鉄製造機構の解明を行った。その結果、不活性ガス中で急速加熱することにより約1350℃、約8分で銑鉄が生成することが分かり、新製鉄法の指針を得た。
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