研究課題/領域番号 |
09450278
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
武津 典彦 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (80029355)
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研究分担者 |
大橋 照男 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (70024263)
栗田 典明 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (20292401)
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キーワード | アルミナ / 水素溶解 / プロトン伝導 / 固体電解質 / IR吸収 / 同位体効果 / 電気伝導度 / 酸化物 |
研究概要 |
本研究の目的のためには酸素イオン伝導の小さい母材の選択が重要である。昨年度のスピネル酸化物型酸化物に続いて本年はコランダム型酸化物であるアルファアルミナを母材に選び、そのプロトン導電性について調査した。 アルファ・アルミナをホスト材料としMg、Ca、Sr、Fe、Si等をドーパントとして水酸素火焔溶融法(ベルヌーイ法)で単結晶試料を作製し、赤外吸収スペクトル分析を行った。その結果Mgをドープした試料については3000カイザー付近に幅の広い吸収を認めたのでこの材料について詳細な検討を行った。まずアニール条件と赤外吸収の強度の関係および吸収位置にみられるH/D同位体効果からこの吸収をOH伸縮振動によるものと同定した。また、吸収量から水素の溶解度を、溶解現象の緩和時間から水素の拡散係数を求めた。また、電気伝導度とそのH/D同位体効果を調べ、高温において従来のプロトン導電体よりも高いプロトン輸率を示すことを確認した。以上の結果からMgをドープしたアルミナでは純粋な状態に比べプロトンの移動度は殆ど変化しないが、溶解量が100〜1000倍に増加し、プロトン伝導を現出させることを解明した。また、偏光を用いた赤外吸収測定から水素の存在位置についても検討をおこなった。これらの結果、Mgドープのアルファ・アルミナは現時点で最も高温度で用いることができる高温用プロトン導電体であることが明らかとなった。さらにこのような組成を持つ市販の多結晶焼結体の一端閉管を選び、その内外面に多孔質白金電極を設けて水素濃淡電池を構成し、その起電力特性を調べた。その結果、従来の最も高温特性の良いプロトン導電体に比べて約100度高温側において同等のプロトン輸率を示すことが確認された。現在単結晶試料についてさらに詳しい伝導のパラメータの決定を進めている。
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