研究概要 |
平成11年度は,窒化を伴う反応性溶射を一転し,DCプラズマ溶射ではその例を見ない,純Ti粉末を用いる反応性RFプラズマ溶射によって析出TiC粒子を含む生成複合材料皮膜を形成した.そのプロセス中の各皮膜形成素過程において,プラズマガスに混合するCH_4量が生成TiC量に及ぼす影響を調べた。分解CのTi溶滴中への吸収は,第1段階の溶滴がプラズマフレーム内を飛行中に生じる.溶射Ti粒子中に生成する微細TiC粒子は,混合CH_4量の上昇とともにその体積率を増加する.溶滴のSUS304基材との衝突に伴う第2段階のスプラット形成過程では,溶滴中に吸収されたC(TiC)が,溶滴の見掛けの粘性を増加させるため,CH_4混合量の上昇とともにスプラット偏平率が減少する.スプラットの凝固過程で生成する液体より高密度のTiC粒子は,偏平化過程でその運動エネルギーのため,スプラット周辺部に偏在する傾向がある.混合CH_4量と無関係に,Ti基複合皮膜中のTiCは,飛行中よりも基材上で約5倍多く生じる.すなわち,TiCの生成は,溶滴の飛行時間よりも著しく長時間の基材上で主に生じる.しかしなから,CH_4混合量>1.33cm^3/sでは,生成複合皮膜の気孔率が高くTiC量が増すにも拘らず,皮膜硬さが低下する.
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