絶縁性の油を分散媒とする粒子分散系の電気レオロジ一流体は、外部電場の印加によりその流動特性を制御できることから、制振装置や位置精密制御装置などへの応用が期待されている。この効果は電場印加により粒子の分散構造が変化するために生じることが指摘されており、その構造変化に伴って光透過特性などの諸特性も大幅に変化することが知られ、レオロジー以外の広範囲な工業的応用も期待されている。そこで本申請者らは、その応用の基礎を確立するために、サブミクロンおよびミクロンサイズのシリカ粒子を対象とした分散系において、実験結果およびこれまでの理論的解析を検証し、電気レオロジー効果の支配因子(粒子径、吸着水量、電流)やその発生機構について検討を行った。その結果、電場印加時に系内を流れる電流を伝導性電流と変位電流の各成分電流に分けて測定し、電気レオロジー効果との対応関係を明らかにすることにより、伝導性電流が電極間に形成された粒子鎖の構造を反映していることがわかった。また、変位電流から粒子添加による誘電率の変化を求め、電気レオロジー効果の大きさと比較したところ、粒子の吸着水量や電場周波数によらず良好な相関を得ることができた。さらに、その関係は粒子径に大きく依存せず、サブミクロンサイズ粒子においてもミクロンサイズ粒子に匹敵する高い電気レオロジー効果を発生することがわかった。従来より、粒子径とともに電気レオロジー効果も大きくなることが指摘されているが、本研究により、沈降などの問題を生じない電界制御型流体を設計できる可能性を示すことができた。
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