研究概要 |
これまでに_μVT-NEMD法を適用して、スリット状炭素膜に対するメタン+エタン系の透過シミュレーションを行った。この研究成果はすでに学術論文として発表されている(1996,1997年)。 続いて、膜表面の炭素をランダムに取り除くことによって作られる、荒れた表面を持つ膜の透過シミュレーションを行い、表面不均一性が透過抵抗を減少させること、および、混合ガスの透過では、速い分子の透過速度が遅い分子と同じように遅くなることを明らかにした。この研究論文はまもなく化学工学英文誌に掲載される。 今年の秋の学会では、エネルギーバリアが直列的に配置された炭素膜表面の透過シミュレーション、入口・出口における透過シミュレーションの結果を報告し、透過分子の持つ運動エネルギー分布がガウス型であることに着目した透過モデルを提案して比較検討した。また、高橋は波動関数の時間発展方程式を解くための手法である核波束法を膜出口の透過現象に適用して解析し、膜透過現象の新しい解析手法を提案した。 Gaussianを用いた量子化学計算では、取り扱いの簡単な酸化マグネシウム膜と二酸化炭素系を選び、この系に密度汎関数法を適用して吸着エネルギーを計算している。すなわち、サイズを変えて計算したMg-Oの平均結合エネルギーが実験値と一致するようなクラスターサイズを選び、MgOクラスター+CO_2系に対して、吸着エネルギーを計算するとともに、差電子密度を計算した。この結果について、解析を進めている。
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