研究課題/領域番号 |
09450288
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
諸岡 成治 九州大学, 工学部, 教授 (60011079)
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研究分担者 |
北條 純一 九州大学, 工学部, 教授 (20038079)
齊藤 丈靖 九州大学, 工学部, 助手 (70274503)
草壁 克己 九州大学, 工学部, 助教授 (30153274)
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キーワード | ダイヤモンド / マイクロドリル / CVD / マイクロ波プラズマ / 結晶析出 / コーティング |
研究概要 |
ダイヤモンド被膜でマイクロドリルのコーティングを確立することを目的とし、メタンおよび水素を原料とするマイクロ波プラズマCVD法でダイヤモンド被膜の合成を行った。析出基材としては、直径50μmのタングステン細線を用い、ダイヤモンドの析出密度を高めるために、バイアス処理あるいはダイヤモンド粉末による傷つけ処理を行った。バイアス処理の場合、シリコン等の平面基板上の場合と異なり、顕著な核発生密度の増加は認められず、最高で10^7cm^<-2>程度の析出密度であった。一方、ダイヤモンド粉末による傷つけ処理では、約10^9cm^<-2>の析出密度が得られ、その後の成長によって、微粒ダイヤモンドからなる厚さが約0.3μmの薄膜が合成できた。 次に、直径90μmのタングステン-コバルト(W-Co)合金製のマイクロドリル上へのダイヤモンドコーティングを行った。しかし、W-Co合金はプラズマ耐性が低く、合成環境下で容易にエッチングされ、表面形態が著しく変化した。そこで、基材表面の保護層として、約50nmの厚さのタングステン層をスパッタリングで成膜して、ダイヤモンド傷つけ処理を行った後、ダイヤモンド被膜の合成を行った。その結果、ドリル形状に沿って均一にダイヤモンドが成長し、1時間の合成で直径が数10〜数100nmの微結晶からなる緻密なダイヤモンド薄膜が生成した。 本結果から、金属細線上やマイクロドリル等の複雑な形状を有する基材上でも、ダイヤモンド粉末による傷つけ処理が簡便かつ有効であり、ダイヤモンド披膜が得られることが判明した。今後は、ダイヤモンド被膜の硬度、密着強度の評価を行う。
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