研究分担者 |
山本 一巳 綜研化学(株), 装置システム部, 主任研究員
仁志 和彦 横浜国立大学, 工学部, 講師 (20262412)
上和野 満雄 横浜国立大学, 工学部, 教授 (70017896)
樽本 淳 綜研化学(株), 研究開発センター, 副主任研究員
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研究概要 |
昨年度までにおける1)塑性流体の流動状態のCTスキャン方式トモグラフィー計測と2)重合反応場における懸濁重合反応のトモグラフィー計測をさらに発展させて、本研究の最終年度である平成12年度は以下のことを行った。 1)重合後期に重合槽内で発現すると考えられる降伏値を有する塑性流体的流動挙動を対象とし、翼廻りのみで流動が生起し、その外側が静止するいわゆるcavern領域を計測した。昨年度は翼中心高さにおける1水平断面における計測であったが、今年度はこれを複数の水平断面について行い、測定結果を3次元的に構成することで、cavern領域の立体的構造を明らかにした(化学工学会第33回秋季大会(浜松,2000)にて口頭発表済み)。とくに傾斜パドル翼を用いた場合、上下非対称となる構造が明らかにとなり、さらに翼の回転方向により、上下の構造が逆転することも明らかにした。 2)ビーカスケールでのスチレンの懸濁重合反応を対象とし、反応の初期、中期、後期のそれぞれの場面において、本計測システムを用い、生成凝集物の有無を検知することができた(化学工学会第65年会(東京,2000)にて口頭発表済み)。続いて反応初期におけるモノマー相の分散状態の良否により、反応後期に至るまで重合反応が良好に進行するか、指標を立てて操作条件との定量的な相関関係を検討した。同相関に基づき、各分散濃度において、反応が安定に進行する操作領域を算定した(化学工学会関東支部つくば大会(筑波,2000)にて口頭発表済み)。以上に述べたものは、反応場とはいえ、準静的な場での計測であったが、重合反応場における連続的トモグラフィー計測を試み、反応が終盤まで良好に進行する場合について計測することができた(化学工学会第66年会(広島,2001)にて口頭発表予定)。さらに反応が不安定となり、反応過程の途中で凝集塊が生起する条件での連続計測につき現在検討を続けている。 本研究により、重合反応場におけるトモグラフィー計測システムの基本的な開発に成功し、実際の反応場に適用することができた。しかしながら、反応器はビーカスケールのものであり、今後その大型化に向けての応用的な開発検討を遂行して行きたい。
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