研究課題/領域番号 |
09450296
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宮本 明 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50093076)
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研究分担者 |
寺石 和夫 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40292239)
久保 百司 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90241538)
ADIL Fahmi 東北大学, 大学院・工学研究科, 講師 (20282105)
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キーワード | 高速化第一原理分子動力学 / 金属超微粒子触媒 / プログラム開発 / Hybrid量子分子動力学 / 触媒反応ダイナミックス / 吸着 / Pd / H_2 |
研究概要 |
近年、経験的なポテンシャル関数を使用せずに、量子化学的に系の電子状態を解き、そこから得られる原子間力に従って、系のダイナミックスを求める量子分子動力学法が注目されている。しかし、従来の量子分子動力学法では、計算時間の関係上、貴金属を多量に含む触媒系の計算は全く不可能であった。そこで、本研究では触媒の活性点を量子分子動力学法で、それ以外の部分を古典分子動力学法で計算し、吸着や触媒反応のダイナミックスを有限温度で計算することが可能なHybrid量子分子動力学計算プログラムColors2を開発した。さらに、本プログラムを貴金属単結晶表面上での各種分子の吸着過程に適用した。 各種金属単結晶表面上での様々な分子の吸着過程について検討を行ったが、Pd(111)面上でのH_2分子の吸着過程について説明する。吸着が起こる金属表面部分とH_2分子のみを量子化学的に扱い、吸着にあまり関与しない金属部分を古典力学的に扱いHybrid化により、従来の量子分子動力学計算では不可能であった多数の貴金属原子を含んだ触媒系の計算が可能となった。上記吸着過程におけるH-H距離の変化を解析したところ、0.2ピコ秒のところで急にH-H距離が増大し、吸着によりH_2分子が活性化されている様子が理解できた。古典分子動力学法では、吸着による分子内結合距離の変化や分子の活性化をシミュレーションすることは不可能であり、量子分子動力学法の活用とその高速化手法の実現によって、上記のような吸着過程ダイナミックスの再現が可能となった。本プログラムは、金属単結晶表面上での吸着や化学反応のみならず、担体やゼオライト骨格を構成する原子の大部分を古典力学的に扱うことにより、担持金属触媒系やゼオライト触媒系への展開も今後可能である。
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