本研究は、担持金属触媒の調製において、従来の金属塩の水溶液の蒸発乾固法に代わって、超臨界流体を二次溶媒とする超臨界乾燥法を用いることによって、担体上の活性金属の微粒子化、すなわち高分散化を図ることを目的としている。 まず、ゾル-ゲル法、すなわちテトラメトキシシランの加水分解によってヒドロゲルを得て、つぎにエタノールによる置換でアルコゲルとした。そして、アルコゲル中のエタノールを硝酸ニッケルのエタノール溶液で置換し、さらに二酸化炭素を溶媒とする超臨界乾燥法を用いてニッケル/シリカ触媒を調製した。得られた触媒について、アルコゲルに硝酸ニッケルのエタノール溶液を含浸・熱乾燥して得られた触媒および市販のシリカゲルに硝酸ニッケル水溶液を含浸・熱乾燥して得られた触媒と比較しつつ、各種の物性測定やベンゼンの水素化反応を行ない、構造物性と反応性の相関について検討を加えた。 その結果、超臨界乾燥法で得られた触媒のニッケル還元度は100%近いこと、ニッケル粒子はきわめて微粒であり、粒子径分布がせまく均一に高分散していること、反応の比活性もきわめて高いことが明らかになった。さらに、ニッケル担持量を変えて得られた触媒は、ニッケル担持量を増やしても粒子径がさほど大きくならず、比活性も高いことから、高担持量の触媒の調製のために本調整法が有効であることを確認した。
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