本年度はモルデナイト型のゼオライト触媒を様々な条件で調製し、最適な調製条件について検討を行った。また、本申請の質量分析計により微量生成する副反応物の同定を行った。現在までの研究でモルデナイトは焼成後に脱アルミを起こし骨格外アルミを生じることが分かっており、これが嵩高い副生成物の生成を増加させているものと考えられる。従来の方法で調製したプロトン型のモルデナイトを用いてエチレンジアミン合成を行い生成物を質量分析計により分析した結果、ピペラジン、N-アミノエチルピペラジン、N-エチルピペラジン、トリエチレンジアミン、また微量であるがアミノエチルエタノールアミン、ジエチレントリアミン、などが副反応物の主成分となっていることが分かった。また、^<29>Si-、^<27>Al-MASNMRより、この触媒は焼成後に脱アルミを起こし多くの骨格外アルミが存在することも分かった。よって、ナトリウム型からプロトン型へ変化させるまでの段階でそれぞれの型のモルデナイトを検討した結果、焼成によりアンモニウムイオン型からプロトン型にする際に脱アルミを起こすことが分かった。そこで、焼成方法を通常のマッフル炉からロータリーキルンへと変更した結果、ほとんど脱アルミを起こすことなくプロトン型のモルデナイトを調製することに成功し、これは骨格外アルミをほとんど有していなかった。この触媒でエチレンジアミンの合成反応を行った結果、前述の骨格外アルミを多く有するモルデナイトに比べて副反応物が減少していることが分かった。来年度はモルデナイトにEDTA及び塩酸で脱アルミ処理を施し、その脱アルミの機構及び副反応物の生成機構について検討を行う予定である。
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