研究課題/領域番号 |
09450303
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
飯島 信司 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00168056)
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研究分担者 |
西島 謙一 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10262891)
三宅 克英 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90252254)
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キーワード | B群連鎖球菌 / シアリルルイス糖鎖 / エンド-β-ガラクトシダーゼ / リンパ球 / ナチュラルキラー細胞 / 免疫 |
研究概要 |
シアリルルイス糖鎖アナログのポリマーであるB群連鎖球菌Streptococcus agalactiae Ia及びIb株のきょう膜多糖の免疫系に対する効果を調べた。S.agalactiaeの型特異的多糖をゲルろ過及び陰イオン交換クロマトで精製し、マウス脾臓及びリンパ節より分離した細胞に添加した。0.04〜1μg/mlの濃度範囲で脾臓及びリンパ節の細胞とも10〜50倍増殖能が上がったが、Ib株多糖の方が効果が高かった。一方、脾臓由来の細胞についてインターロイキン2、抗体生産、インターフェロンγの生産に対する微生物糖鎖の効果を検討したところ、Iaの方が効果が高く0.2μg/mlの濃度でこれらの生産を10倍以上増加させた。一方、マウスセレクチンに対する抗体によりこのような効果が観察されないことから、微生物糖鎖が結合する細胞表面分子はセレクチンではなく、他の受容体に結合しこのような効果がでるものと推察された。 微生物糖鎖はシアリルルイス糖鎖アナログが500以上つながった平均分子量500kDaのポリマーであり、高濃度で若干の細胞毒性がある。そこでShingobacterium multivorum由来のエンド-β-ガラクトシダーゼを精製しIa株糖鎖を切断して平均分子量30〜70kDaのオリゴマー(シアリルルイス糖鎖アナログ30〜70)に部分分解した。この糖鎖のガン細胞と血管内皮細胞の接着(ローリング、がん転移の初期段階)に対する効果を検討したところ、もとの高分子糖鎖に較べ飛躍的に接着阻害効果が向上した。またリンパ球の一種でガンの免疫療法や移植の拒否反応に重要なナチュラルキラー細胞に対するこれら微生物糖鎖の効果を検討したところ、Ia株糖鎖が細胞障害活性を弱く阻害することが判明した。今後免疫抑制剤として使用できるか検討する予定である。
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