研究課題/領域番号 |
09450303
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物・生体工学
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
飯島 信司 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00168056)
|
研究分担者 |
西島 謙一 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (10262891)
三宅 克英 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (90252254)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1998
|
キーワード | Streptocuccus agalactiae / 型特異的多糖 / 細胞接着 / シアリルルイス糖鎖 / ポリシアル酸 / シアリダーゼ |
研究概要 |
我々は、種々の糖鎖がはたす生物学的役割りを主に病因とのかかわりを中心に研究している。まずポリシアル酸について、N-CAMの構成成分としての役割り以外にある種のガン細胞で転移の初期段階である血管内皮細胞とガン細胞の接着に重要であると示唆された。そこでシアル酸の分解酵素を大腸菌に感染するファージから精製、また遺伝子をクローン化した。このシアリダーゼはファージ由来の酵素としてはきわめて特異で、非還元末端より3糖単位でシアル酸を分解することがわかった。また分子量は630kDの4量体酵素であること、各サブユニットは分子量120kDの前駆体として合成されプロセッシングされることがわかった。 一方、我々は連鎖球菌Streptococcus agalactiaeが、ガン抗原シアリルルイス糖鎖のアナログであるシアリルラクトサミンのポリマーを生産することを見出し、この糖が結合するセレクチンの免疫細胞に対する効果を調べた。抗L-セレクチン抗体が直接リンパ球を活性化するか検討したが、単独ではリンパ球の増殖を誘導しなかった。セレクチンの天然のリガンドの一種とされるスルファチドも同様であった。しかし、抗セレクチン抗体及びスルファチドは培養初期においてリンパ球を凝集させたことから、セレクチンによるシグナルがリンパ球の細胞接着を調節することが示唆された。この凝集は細胞内のカルシウムイオンの濃度変化を阻害する薬剤により完全に阻害されたことから、カルシウム関連シグナルの関与が推察された。一方、Tリンパ球を刺激する抗CD3抗体、ブドウ球菌スーパー抗原は単独で増殖をひきおこすが、この増殖応答は抗セレクチン抗体、スルファチドによりさらに強められることが観察された。この際インターフェロンγの産生も強められることが認められた。これらの結果よりセレクチン及びそのリガンドがリンパ球活性化の調節に関与していることが示唆された。
|