研究課題/領域番号 |
09450305
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
新名 惇彦 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (30029235)
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研究分担者 |
加藤 晃 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (80283935)
関根 政実 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (70226653)
吉田 和哉 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教授 (50252622)
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キーワード | 代謝工学 / 葉緑体工学 / 葉緑体 / クラミドモナス / 形質転換 / プロモーター |
研究概要 |
植物が動物と異なる特徴は独自の環状DNAを持つ葉緑体の光合成能にあると言っても過言ではない。植物の代謝工学を総合的に進めるには葉緑体DNAを操作する系の開発が不可欠である。緑藻クラミドモナスの葉緑体は、パーティクルガン法による遺伝子導入が可能である。本研究の目的は葉緑体の機能の改変の系の確立にあり、クラミドモナス葉緑体DNAを対象に、今年度は使用可能なプロモーターの検索と特性を明らかにすることを目的とした。 1プロモーター-GUS融合遺伝子の構築と各融合遺伝子の発現様式 葉緑体内で転写速度の異なる遺伝子を3種類(rbcL、psbA、atpA)選び、そのプロモーター領域並びに非翻訳領域とGUS遺伝子(レポーター遺伝子)より構成される融合遺伝子を葉緑体に導入した。得られた形質転換体(RG、PG、AG)のGUS活性を測定した結果、PGにはGUS活性は検出されなかったが、RGとAGにはGUS活性が検出され、比活性はRGよりAGが約8倍高い値であった。このGUS活性の違いは、抗GUS抗体を用いた蓄積GUSタンパク質の解析でも同様であった。また、各形質転換体のGUSmRNA量を解析した結果、PGにはmRNAの発現が見られなかったが、RGとAGにおいてGUSmRNAの蓄積が見られ、その発現量はRGよりAGの方が約13倍多いことが確認された。 2 考察および今後の予定 今回用いたプロモーターの中では、rbcLプロモーターからの転写速度が最も速いと報告されているが、GUSとの融合遺伝子では、atpAプロモーターが最も高い発現を示した。この結果は、外来遺伝子を発現させる際のプロモーター活性は、必ずしもin vivoでの転写速度と比例しないことを示している。また、各融合遺伝子間のmRNA蓄積量の比とGUS活性値の比が一致していないことも興味深い。現在、rbcL、およびatpAに関して、遺伝子の翻訳可能領域内でGUSと融合させる翻訳融合型遺伝子を構築しており、外来遺伝子発現系における転写後調節機構の解析も進めている。
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