1.半導体集積回路の断面分析 収束イオンビームを用いて半導体集積回路の任意の位置に断面を削りだし、その断面について元素分布分析を試みた。分析には収束電子ビーム励起のオージェ電子分光法、パルス収束イオンビーム励起の飛行時間型二次イオン質量分析法の両者を用い、それぞれの得失を検討した。空間分解能は現状では励起に用いる一次ビームの収束特性により決定され、電子ビーム励起オージェ電子分光法では電子銃が旧式であるため約1ミクロン、収束イオンビーム励起二次イオン質量分析法では約0.2ミクロンとなった。信号強度はそれぞれの物理過程に依存し、オージェ電子分光法では元素間の感度は比較的均一であるが、微小領域のスペクトル分析で5%程度以上、元素分布マッピングで10〜20%以上の濃度が実用的測定の対象となった。二次イオン質量分析法では1%未満の濃度でマッピングできる元素がある一方で、主成分である場合のみ十分な強度の信号が得られる場合もあった。 2.半導体デバイスワイヤボンディング部の三次元分析 収束イオンビームによる断面削り出しと飛行時間型二次イオン質量分析法による元素分布マッピング繰り返すことにより、微小領域の三次元元素分布分析を試みた。試料として、半導体デバイスと外部の回路の接続に不可欠なワイヤボンディング部分を用いた。実際に樹脂モールドされ、耐熱試験を行った後のボンディングワイヤとパッドの接合界面について、ワイヤの金、パッドのアルミニウムそれぞれの三次元元素分布を得ることができ、実用上きわめて有効な手法であることが確認された。
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