水と4-メチル-2-ペンタノンの界面で電気分解を行い、界面に2次元的に局在する金属析出を発見した。水溶液中には、多量の硫酸亜鉛が溶けているので、界面に局在する金属析出は、極めて特異な反応といえる。電気分解の際に加える電圧を調整して、析出形態を観測したところ、電子移動が反応を律速する低過電圧域では、円盤状の析出が観測され、イオンの拡散移動が反応を律速する高過電圧域では、フラクタル状の2次元析出が観測された。何れの条件でも、面内の成長速度は面外の成長速度に比べ圧倒的に大きな速度をもち、金属亜鉛の析出は2次元平面内に局在して進む。電位ステップ後の電流の時間発展を記録し、フラクタル構造を取り入れた2次元酔歩モデルで、電流の時間変化を説明することができた。金属析出が液液界面に局在するアノマリーを解明するために、フェムト秒短パルスレーザーを用いて、界面分子の回転、緩和時間を電位の関数として測定し、緩和時間が電位によって変化することを明らかにした。この事は、界面分子の配向が電位によって変わる事を意味し、バルク内の溶媒分子の配向と界面にある溶媒分子の配向とは大きく異なることを示唆する。界面では、溶液内部のランダムな溶媒分子配向とは異なり、むしろ結晶状態に近い規則的な分子配向があり、これが2次元的なイオンの拡散速度を高めているのではないかと推定できる。現在、磁場中で析出反応を行い、MHD効果により析出形態が変化する様子を検討している。
|