研究課題/領域番号 |
09450315
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
工藤 徹一 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90205097)
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研究分担者 |
日比野 光宏 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (20270910)
水野 哲孝 東京大学, 工学系研究科, 助教授 (50181904)
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キーワード | ペルオキソ錯体 / プロトン導電性 / シュウ酸配位子 / アンモニウム配位子 / 硝酸配位子 |
研究概要 |
前期遷移金属及び化合物と過酸化水素との反応で生成する金属酸化物分子、過酸化ポリ酸の構造及び生成するまでに経由する化学種、起きている反応についての検討を行った。いずれのタングステン・モリブデン化合物の場合も、過酸化水素との反応で生成する化学種は、2核または単核のペルオキソ錯体であった。また、タングステン及びモリブデンペルオキソ錯体について、金属原子1個あたりに配位しているペルオキソ基の個数、0-0/M(M=W,Mo)と化学シフトとの比例関係の成立、及び0-0/W=1の、酸素、ペルオキソ基、水のみが配位した単核及び2核錯体の生成を、本論文で初めて見いだした。 炭化物・窒化物の非金属原子化学種の炭素は酸化反応のみが起こるのに対し、窒素は最低酸化数をとる化学種が生成するが、この違いは、原料の炭化物及び窒化物の、金属-非金属原子間の結合のイオン性の違いに対応することを見いだした。 反応溶液中の過酸化水素濃度の低下により、単核及び2核錯体は、多核錯体に変化した。この多核錯体には、[{W_3O_7(O_2)_2}_2O]^<2->のような6核錯体が含まれていることが推定された。蒸発固化の段階でさらに2量化し、12核の化学種も生成することが推定された。この12核化学種についての新規なモデルも提出された。また、これらの化学種は過酸化水素濃度により可逆的に変化することが見いだされた。 上述の手法で得られた酸化物分子薄膜はいずれも、プロトン導電性で、固体としては比較的高い導電性を示す。C_2O_4^<2->配位子や、NH_4^+、NO_3^-イオンにより、この酸化物分子の熱による重合が妨げられ、導電体の安定性が向上する。このような配位子やイオンの外部からの添加による物性向上の可能性についても示された。
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