研究概要 |
本研究は、大気環境用および燃焼排ガス用の高性能NOxセンサの開発を目指すものである。本年度は安定化ジルコニアをベース材料とした混成電位式、電流検出式センサ、および補助相材料を用いた限界電流型固体電解質センサについての検討を行い、以下のような知見を得た。 1)安定化ジルコニアの種々の単独酸化物を組み合わせた素子を作製し、NOxに対する感度を550-700℃において測定した。最も高い感度はWO3を用いた場合に得られた。素子起電力はNOx濃度の対数に比例し、NO2に対しては正、NOに対しては負の傾きを示した。本素子のNOx雰囲気中での分極曲線の測定結果より、本素子の場合もその応答機構は混成電位モデルによって説明できることを確かめた。2)安定化ジルコニアとWO3電極を用いた素子を、電流検出方式で作動させたときの600℃でのNOx検知特性を調べた。検知極電位を+40mVに設定して、NOおよびNO2に対する電流応答の濃度依存性を600℃において調べたところ、NO2よりも大幅に高いNO感度が得られ、しかもNO感度は濃度にほぼ比例する応答が得られることがわかった。本素子の他ガスに対する応答は小さく、良好なNO選択性を示すため、以前に検討したCdCr2O4電極を用いた素子に比べて、より高温での作動が可能なことがわかった。 3)NASICONとNaNO2を組み合わせた限界電流検出式平面型素子について、検知極電位を-150mVに設定して150℃におけるNO2検知特性を調べたところ、電流応答とNO2濃度との間に0-500ppbの範囲で良好な直線性が得られた。本素子の50ppbに対する90%応答時間は約1分以内と良好であった。また、NO2感度はCO2,水蒸気,その他のガスの妨害もほとんど受けないことがわかった。
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