研究概要 |
アルカリ金属の中でもナトリウムは炭素材料中へのインターカレーションに対して大変興味深い挙動を示すことが知られているが,その原因は明らかになっていない.そのナトリウムについて 1)ホストとして種々の構造・組織を持っ炭素材料を用いることによって反応場を制御するとともに,2)ナトリウム-溶媒分子錯体の大きさ,形状を変えることによって,インターカレーション挙動を解明することを目的とした. 1)ホスト炭素材料の効果(反応場の制御): 種々の粒径の天然黒鉛,種々の温度に加熱処理された熱分解炭素,石油コ-クスおよびポリ塩化ビニル炭を選び,テトラヒドロフラン(THF)溶媒中でのインターカレーション挙動を検討した結果,以下のホスト効果が認められた.すなわち,コ-クスでは黒鉛化度P_1が0.2以上のホストを用いた場合にのみステージ1構造が得られるのに対して,熱分解炭素からは常にステージ1構造のインターカレーション化合物が得られる. 2)ナトリウム-溶媒分子錯体の効果 : THF溶媒の場合には,上記のようなホスト効果が認められたのに対して,ジメトキシエタン(DME)の場合はいずれのホストについてもステージ1構造のインターカレーション化合物が得られた.また,メチルテトラヒドロフラン(Me-THF)の場合には,天然黒鉛では溶媒を伴わない二元系インターカレーション化合物が生成するが,その他の炭素材ホストの場合には常に溶媒を含んだ三元系化合物が生成し,THFと同じホスト効果が認められた.
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