研究課題/領域番号 |
09450323
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
高木 克彦 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60023264)
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研究分担者 |
志知 哲也 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90293654)
菊田 浩一 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00214742)
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キーワード | モンモリロナイト粘土 / インターカレーション / 有機-粘土複合体 / ケイ酸ガラスマトリックス / イオン交換容量 / ゾル-ゲル法 / 分子配向 / ラウリルピリジニウムクロライド |
研究概要 |
序論 層状無機化合物であるモンモリロナイトは有機ゲスト分子を層間にインタカレーションする。ゲスト分子は一定の配列を持って層間に吸着さるため、複合化による機能性材料としての展開も期待される。今年度、先ず、粘土層間化合物の材料化の第1歩として、ケイ酸ガラスマトリックス中に有機修飾したモンモリロナイト粒子をドープし、そのマトリックス中でのモンモリロナイト粒子の分散状態と配向性について検討した。 実験 モンモリロナイトは、合成粘土、Sumecton SA(クニミネ工業)を用いた。カチオン交換容量は99.68ミリ当量/100gであった。この粘土水分散液ににラウリルピリジニウムクロライド(Cl2H22-Py+Cl-)、スチルバゾリウム塩などのカチオン性ゲスト分子と撹拌し、吸着させた。一夜、撹拌放置後メンブレンろ紙によりろ過して、白色粉末を得た。このものを有機-粘土複合体とし、マトリックスに分散させた。マトリックスとしてはゾル-ゲル法によるケイ酸ガラスを用いた。まず、ゾル-ゲル溶液としてTEOS(テトライソプロポキシシラン)のDMF溶液に、EtOH、NH4O H aq.を加え、加水分解および脱水重合させ、その分散溶液中へ複合体を加えて超音波で分散させた。その後スピンコーターにて基板に展開し、薄膜とした。 結果と考察 ゾル-ゲル溶液中で有機ゲスト分子を複合化した粘土層間化合物は均一に分散していることが、電顕写真、光学顕微鏡の観察により明らかになった。また、粘土層間化合物は、層から分子が脱離したり、層構造が壊れることなく薄膜にドープすることができ、スピンコートにより100nm程度の強靱な透明薄膜が得られた。マトリックス中に分散された粘土粒子は、積層させた薄膜をXRD測定することによりd001強度が相対的に強いことが明らかとなり、この結果から基板上の複合体粒子はc軸方向に方向を配向していると結論された。またd001値は粘土層間中での有機分子の配向状態によって変化する。即ち、電気直線2色性を静電場にて測定し、たとえば、4-メトキシスチルバゾールイオンはマトリックスに分散された粘土粒子中で、約21度のチルト角で傾いた一分子膜状態で配向状態にあることが判明した。また、複合体の粉末状態とゾル-ゲル薄膜中でのXRD測定のd001値を比較すると、ゾル-ゲルマトリックス中の方が、数オングストロームだけ圧縮していることがわかった。これは、ゲル化の段階で層間の溶媒が除去されたか、別の溶媒に置換されたものと推定した。
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