研究概要 |
金属フッ化物の水溶液内加水分解平衡反応を利用した液相析出法による金属酸化物薄膜生成機構について検討を行った。 酸化チタン薄膜の薄膜生成条件を確立した後、酸化チタン薄膜を水晶振動子上に析出させることにより、水晶振動子マイクロバランス法による薄膜形成速度のモニタリングを行った。反応に関与する金属フッ化物錯体、ホウ酸の濃度により反応速度は変化し、薄膜形成反応が溶液内の金属フッ化物の平衡反応により進行していることを明らかにした。また、反応過程におけるin situ AFM,insituの表面電荷測定により、薄膜形成初期段階における誘導期間(薄膜成長が見られない期間)においては、基板上における酸化物の核生成反応が進行していることが明らかとなった。また、LPD法による酸化バナジウム薄膜の合成に成功し、焼成時の雰囲気によってそのバナジウムイオンの価数の制御ができることが明らかとなった。V_2O_5については、空気雰囲気中での焼成により作製され、Li^+イオンのインターカレーションが認められた。また、VO_2は窒素雰囲気中での焼成により作製され、70℃付近で電気伝導度の転移現象が認められた。また、FeOOH,Fe_2O_3からなる薄膜を作製した。さらに、従来フッ化物の沈殿が生成されるため、LPD法による薄膜合成が困難であるとされてきた希土類イオンをキレート化し、フッ化物含有の水溶液内で安定化することによって、希土類含有酸化物薄膜を調製に成功した。
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