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1998 年度 実績報告書

超分子ナノリアクターによる酵素反応の制御に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 09450332
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

菊池 純一  奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (90153056)

研究分担者 有賀 克彦  奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教授 (50193082)
キーワード超分子ナノリアクター / 酵素反応制御 / 人工レセプター / ステロイドシクロファン / 合成脂質二分子膜 / 超分子集合体 / 分子認識 / 膜内相分離
研究概要

1. 本研究では,脂質二分子膜ベシクルに酵素反応を可逆的に制御するスイッチング機能を付与して,ナノスケールのインテリジェントリアクターを開発することを目的とした。
2. 前年度は,人工脂質が水中で形成する二分子膜ベシクルに,2種類のシグナルリガンドを認識可能な人工レセプターであるステロイドシクロファンを組み込むことで,NADH依存性の酸化還元酵素である乳酸脱水素酵素の活性制御が可能になることを明らかにした。この知見をもとにさらに研究を展開し,以下の成果を得た。
3. ナノリアクターに適した脂質と酵素の組み合わせを種々検討し,詳細な酵素動力学の解析から,乳酸脱水素酵素はカチオン性のペプチド脂質が形成する二分子膜ベシクルに活性を維持したまま定量的に固定化できることを明らかにした。また,その際に会合安定性に優れた膜形成脂質を用いることが重要であることがわかった。
4. 1分子で人工レセプターとしての機能を発現するステロイドシクロファンの代わりに,複数分子の膜内会合に依存してシグナル認識能が変化できる人工レセプターをいくつか開発した。これらは,膜内相分離にもとづいて酵素反応のON/OFFが可能であることを明らかにした。特に,アゾベンゼン基を導入した人工レセプターは,光異性化を利用して酵素反応のスイッチングが可能になることもわかった。
5.上記のナノリアクターに対して,反応制御のトリガーとなるシグナルリガンドの最適な組み合わせを検討した。人工レセプターに認識される一次シグナルとしては疎水性の芳香族アルデヒドが最適であり,人工レセプターと酸素間の二次シグナルとしては金属イオン,特に銅(II)イオンが適している。また,本系は超分子ナノリアクターとして,乳酸脱水素酵素以外の酵素にも適用可能であることがわかった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] J.Kikuchi: "Steroid Cyclophanes as Artificial Cell-surface Receptors. Molecular Recognition and Its Consequence in Signal Transduction Behavior" J.Incl.Phenom.32巻2/3号. 209-221 (1998)

  • [文献書誌] J.Kikuchi: "An Artificial Signal Transduction System. Control of Lactate Dehydrogenase Activity Performed by an Artificial Cell-surface Receptor" Chem.Lett.3号. 253-254 (1999)

  • [文献書誌] J.Kikuchi: "Signal Transduction Mediated by Artificial Cell-surface Receptors. Activation of Lactate Dehydrogenase Triggered by Molecular Recognition and Phase Reorganization of Bile Acid Derivatives Embedded in a Synthetic Bilayer membrane" Chem.Commun.(印刷中). (1999)

  • [文献書誌] J.Kikuchi: "Molecular Recognition and Inclusion" Kluwer Academic Publishers, 6 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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