研究課題/領域番号 |
09450333
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
久枝 良雄 九州大学, 工学部, 教授 (70150498)
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研究分担者 |
嶌越 恒 九州大学, 工学部, 助手 (00284539)
林 高史 九州大学, 工学部, 助教授 (20222226)
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キーワード | 有機電解合成 / メデイエータ / コバルト錯体 / 二核錯体 / サレン錯体 / コスタ錯体 / 酸化還元挙動 |
研究概要 |
有機電解合成は、大規模な有機合成のための手法として、電解技術の多様性、電流および合成収率の良さ、間接電解反応に用いるメデイエータの選択幅の広さ、反応様式の多様性など種々の利点が挙げられる。コバルト錯体をメデイエータとして用いた場合は、Co(II)/Co(I)レドックス触媒として種々の錯体が合成され、多様な有機電解合成が行われている。しかし、いずれも単核錯体を用いた例であり、二核錯体をメデイエータとして用いた例はない。二核錯体の場合、二箇所の反応サイトがあり、単に単核の2倍の反応活性を示すというだけではなく、2分子の基質の同時活性化や1分子の基質を2箇所で活性化し、2官能性の活性種の生成が可能となる等の二核錯体特有の機能が期待される。そこで本研究では、新しい電解メデイエータとして種々の二核錯体を合成し、その酸化還元挙動および触媒活性について検討した。 二核錯体の合成は、有機電解反応のメデイエータとして頻繁に用いられているコバルトサレン錯体およびコバルトコスタ型錯体を基本骨格とし、それらをメチレン鎖やベンゼン環等の種々のスペーサにより架橋することにより二核化した。合成した錯体の酸化還元挙動をサイクリックボルタムグラフ法により検討した結果、メチレン鎖のような非共役架橋鎖により二核化した錯体は単核とほぼ同じ挙動を示したのに対し、ベンゼン環の様な共役した架橋鎖により二核化した錯体は、段階的な電子移動が起こり、Co(II)Co(II)/Co(I)Co(II)の均化定数は約2,000であった。基質としてハロゲン化アルキルを添加した場合、電極上で還元されて生成するCo(I)Co(I)種と反応して生成するアルキル錯体の還元波が観測された。その電位は、錯体の電荷に大きく依存し、モノアニオン性のコスタ型二核錯体では、サレン型錯体と比較してより正の穏やかな条件で定電位電解出来ることが明らかとなった。
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