研究概要 |
1.非対称な高分子連鎖の構築によるキラルポリマーの合成 高分子主鎖が対称面を有しない連鎖を形成する場合にはポリマーはキラルであり、一対の鏡像異性に相当する高分子鎖の割合が50/50からずれるとポリマーは光学活性になる。このようなポリマー連鎖として定序配列のポリ(メチルメタクリレート-alt-ジメチルフマレート)を設計し、非対称型非共役ジエンの不斉環化重合でこれを実現した。環化重合による環化単位はビニルモノマーの二連子に相当するので、非対称ジエンの重合で二連子を非対称とし、さらにキラルテンプレートを用いて、エナンチオ選択重合で連鎖の鏡像異性体の一つが優勢に生成するように重合系を構築した。テンプレートの不斉誘導能は1,3-ジオール>1,2-ジオール>1,4-ジオールであり、環化率の関与が大きかった。 2.不斉環化共重合によるキラルな孤立二連子の形成とキラル発現 周期コポリマーA-A-Bの連鎖は、A-Aがラセモ構造を形成すると、キラルな構造単位になる。このようなキラルな連鎖の形成に環化共重合法を用いた。キラルなジオールから誘導したビス(p-ビニルベンゾエート)モノマー(M_1)とスチレン(M_2)とを共重合し、生成したコポリマーからテンプレートを除去してポリ(メチルベンゾエート-co-スチレン)を得た。これらコポリマーは光学活性であり、キラルなA-A二連子がキラリティーの発生源であった。そこでテンプレートの構造と不斉誘導能との関係について検討し、より有効なテンプレートおよびモノマーの設計への指針を得た。さらに、分子計算とモデル環化反応により不斉発現の機構を明かにした。
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